日本人の幸福度考察

マズローの欲求5段階説考察

前回の記事では「日本人の幸福度が低い理由」について考察しました。治安は良く物質的、経済的には恵まれているはずの日本ですがなぜ幸福度が低いのかを別の切り口でも検証していきたいと思います。

心理学の世界で有名な説として「マズローの欲求5段階説」というものがあります。本記事では

  • マズローの欲求5段階説概要
  • 一般的な日本に住む社会人にマズローの欲求5段階説をあてはめると?

について私なりに考察していきます。

 

マズローの欲求5段階説概要

 

マズローの欲求5段階説とは1943年にハロルド・マズローというアメリカの心理学者が「人間の動機づけに関する理論」という論文を発表し世に広まりました。実に80年近く前ですがいまだに語られるわけですから真理をついている面があるのでしょうね。

その論文の中でマズローは人間の欲求は以下の5つに分類できると論じています。

  1. 生理的欲求
  2. 安全欲求
  3. 社会的欲求
  4. 承認欲求
  5. 自己実現欲求

上記の5つの欲求は番号が若いものから順に現れ、その欲求が満たされた時点で次の欲求が現れるとされています。まずは5つの欲求につき詳細を述べていきます。

 

①生理的欲求

食欲、睡眠欲、性欲等がこれにあたります。人間の生物としてのストレートな欲求であり、性別、国籍、年齢等にかかわらず基本的に誰でも持ち合わせている欲求です。

②安全欲求

安全安心な場所で睡眠を確保したい、安定した収入を得て経済的安定を手にしたい、心身ともに健康でいたい といった欲求が該当します。

③社会的欲求

人は一人では生きていけません。我々の祖先も仲間同士で群れを作り部族という集団を形成し、それらがやがては国家まで規模を拡大しています。その歴史からも人は集団、コミュニティを形成したいという本能があります。

現代でいえばプライベートで家族を持ちたい、会社という組織に所属にしたい、趣味のサークルに所属したいという欲求が該当します。

④承認欲求

社会や他人から認められたいという欲求です。集団の中で特別視されたい、個人として認められたいという欲求が誰しもがあると思います。現代社会はインターネット、SNSが普及したことで他者からの反応、評価がすぐに把握できますのでより承認欲求が刺激されやすくなっています。

⑤自己実現の欲求

人は自分に適したことをして自分の能力を開花し、自分の可能性を追求したい そのような欲求を抱きます。実はこの自己実現の欲求には更に上があることをマズローが発表しており、「自己超越の欲求」と表現されたりします。

「自己超越の欲求」とは自分の能力を開花させた後、自我を超え、他人やコミュニティ、国のために貢献したいと欲求です。

ここまでは「マズローの欲求5段階説」の概略を説明しましたが、次の項目では一般的な日本に住む社会人にあてはめるとどうなるか?を見ていきます。

 

一般的な日本に住む社会人にマズローの欲求5段階説をあてはめると?

 

マズローの欲求5段階説を一般的な日本に住むサラリーマンのあてはめると、欲求は満たされているケースが多い?少ない? を5段階の欲求ごとに考察していきます。

①生理的欲求

現在の日本は食料は十分にあり、経済的に困窮している人も少ないため生理的欲求が満たせずに苦しんでいる人は少ない状況です。多くの日本人にとって生理的欲求が満たせないことが幸福度が低い理由とはなっていないと推測します。

②安全欲求

現在の日本は世界と比較して治安も良く、医療水準も高いため、病気を抱えられている方等を除けば安全欲求が満たされていない方は多くないと推測します。

③社会的欲求

社会的欲求についても満たされている人の方が多いのではないかと見ています。もちろん個人差はありますが家族、会社等何らかのコミュニティには所属しているケースが多いでしょうし、社会的欲求が満たされていない方もどちらかといえば少数派ではないかと見ています。

④承認欲求

生理的欲求、安全欲求、社会的欲求については満たされている人が多数派だと思いますが、承認欲求が満たされているか否かは個人個人でバラつきが大きいと見ます。むしろ承認欲求が満たされている方は少数派かもしれません。

一般的に会社組織の中で優秀な人は全体の2割でその2割の人が会社を支えていると言われますが、それはつまり評価されている人も近似値の2割ということです。もちろん例外もあると思いますが、会社の人事評価制度でも高い評価をされるのは上位2割弱というケースが多いのが実態です。(私が所属している会社もそうです)

言い換えれば8割の人は高い評価をされていないわけで、努力しているにもかかわらず評価が低いと感じている人が多いのではないかと推測します。それはつまり承認欲求が満たされていない人が多いことにつながっていると見ています。

⑤自己実現の欲求

日本では自分の得意なことや個性、適正を重視する教育がなされない傾向にあります。多様性を受け入れることに寛容でない国民性、風土を感じますし、みんなと同じような行動、生き方を勧める教育が主流ですので、そもそも自分の可能性を追求するということを目指している人が少ないのではと見ています。

私の意見をまとめますと

  • 日本に住む社会人の方の中で生理的欲求、安全欲求、社会的欲求は満たされてる方が多い
  • 逆に承認欲求、自己実現の欲求 は満たされないケースが多い

となります。

日本人の幸福度が低い理由を深堀りしていくため、次回の記事では、日本人と承認欲求、自己実現の欲求について更に深く考察していきます。